こんにちは、つばさです。
今回はブログで本を紹介するときの著作権についてです。
- ブログで本を紹介するときに注意すべき著作権
- ブログで本を紹介するときにやってはいけないこと

この本すごく良かったからブログで紹介したいな。
けど著作権とか大丈夫かな。
現役知財部の私がブログと著作権について解説します。
著作権とは
著作権は、作品を創作した者が有する権利である。また、作品がどう使われるか決めることができる権利である。作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、創作した者を著作者という。知的財産権の一種。
wikipedia
具体的な著作物についても法律で定義されています。
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
引用:著作権法第十条
もちろん本は著作物ですので著作権の対象になります。
本の内容を公開する権利は公衆送信権といい著作者しか持っていません。
著作者が、公衆に受信されることを目的として著作物を送信する権利を専有すること。
つまり著作物の内容を公開できるのは著作者だけなのです。
なので本の内容をそのままブログに公開することはやめましょう。
著作権侵害とは?
著作権侵害とは、著作権で守られている著作物を著作者の許可なく第三者が使用することです。
ブログやWEBサイトを見ていると「これ大丈夫なの?」というサイトにいくつか出会います。
有名なものにまとめサイトや漫画やアニメが無料アップロードされている海賊版サイトが挙げられます。
日本で著作権侵害で最も有名な事件は漫画村事件だと思います。
有名な著作権侵害事件:漫画村事件
当時かなり話題になったので知っている人も多いかもしれません。
漫画村とは、2016年1月~2018年4月まで運営されていた海賊版漫画サイトです。
違法コピーされた書籍(漫画、雑誌、小説など)をサイトにアップロードし誰でも無料で読むことが出来ました。
月間利用者数が1億人弱と影響力が大きく、被害額は3000億円と言われていました。
これにより日本国政府も漫画村を念頭に置いた「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」を発表しました。
2018年4月に広告停止、サイト閉鎖、2019年9月に運営者は著作権法違反で逮捕により漫画村事件は収束しました。

無料で読めたら誰も本を買わなくなるし、原作者や出版社からすれば目の敵だったんでしょうね。
基本的にすべての著作物を第三者が公開する場合には著作者の許可がいるんですが、いくつか例外、というか条件を満たせば許可はいりませんよという場合もあります。
今回はブログ等で本を紹介する場合に関係するもののみ抜粋しました。
著作物が自由に使える場合
著作権法では以下の場合に著作者の許可がなくても著作物の利用が出来ます。
- 私的使用のための複製
- 引用
※一部抜粋。全部は著作物が自由に使える場合を参照してください。
私的使用のための複製
家庭内で仕事以外の目的のために使用するために著作物を複製することができます。
例えば、テレビ番組を録画することは完全に複製ですが、「自分または家族が後から見るため」なら私的使用のための複製とみなされOKなんです。
しかしこれをブログやWEBサイトにアップすることは私的使用の範囲を超えるのでNGです。

自分だけの使用か第三者も使えるのかという違いだね。
ただ、比較的短い内容であれば著作権法違反にならないというのが現状です。
例えば、某バスケ漫画の「諦めたらそこで試合終了ですよ」というセリフなんてSNS見てたら毎日誰かが呟いていますが、その人たちが全員作者に許可取ってるわけありませんよね。
引用
公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができます。
- 主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること
- 明瞭区分性:両者が明確に区分されていること
- 必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性
- 引用元の記載
- 改変しないこと
1.主従関係
主従関係とは「自分の文章がメインで引用部分は少しだけ」ということ。
後述しますが、記事の大部分が引用というのは認められません。
ただ、どの程度まではいいのかという具体的な決まりはないのが現状です。
大体2割くらいまでかなと個人的には考えます。
引用がいいからといって本の内容全てを引用するのは公衆送信権の観点からもダメですよ。
2.明瞭区分性
明瞭区分性とは「自分の文章と引用の文章をはっきり区別する」ということです。
区別する方法には、次のようなものがあります。
- 引用部分を“”(ダブルクォーテーション)や「」(カギかっこ)でくくる
- 引用部分だけ太字にする
- 引用部分の文字の色を変える
- 引用部分の背景色を変える
- 引用部分を枠で囲う
など
自分の文章と引用する文章がはっきり区別できるよう工夫しましょう。
3.必然性
必然性とは、「文章の流れ的に著作物を使う必要があるか」ということです。
自然な流れで引用されていれば必然性があると判断されます。
4.引用元の記載
引用する際はどこから引用したのかを明確にしなければいけません。
引用した文章の著作権者を明確にするためです。
一般的に引用した文章の下に「引用:〇〇」のような形で記載します。
5.改変しないこと
これを間違えている人が多いように感じます。
引用する場合は「一字一句同じで正確に引用する」必要があります。
1文が長いから勝手に短縮したり、自分の言葉を追加したりしてはいけません。
文章が長い場合は(略)(中略)のように省略したことがわかるようにしなければいけません。
以上5つの条件を遵守しましょう。

これらの1~5を全て満たした場合のみ、著作物を許可なく使用することが出来るんだ。
著作物の正しい利用方法
本来は著作物を利用する場合は,著作権者の許諾が必要です。
特に「許諾なく使えるか」についてはよく確認して利用してください。

著作権を侵害したらどうなるの?
当たり前ですが著作権侵害は犯罪です。
最大で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられます。

ひぇ~!!
実は著作権といっても色々な種類(著作者人格権、著作権隣接権、秘密保持命令違反など)があって何を侵害したかで罪の重さが変わってきます。
そして著作権侵害に対して次のような措置が取られます。
- 侵害行為の差止請求
- 損害賠償請求
- 不当利得の返還請求
- 名誉回復などの措置の請求
要は「お前がパクったせいで売上が下がったはずだから金払え」ってことです。
無料で読めたら買わなくなるからその分売上が落ちているという主張は当然といえば当然ですよね。
著作物を扱うときは注意して扱ってくださいね。
著作権侵害をしないための4つのポイント
本の紹介だけでなく、写真やイラストなど他人の著作物を使用する際は次の4点を守りましょう。
ポイント1:オリジナルの文章で書く
出来る限り自分の言葉で紹介しましょう。
先ほども述べたように、自分の著作物と引用部分の主従関係が重要です。
引用する際も他人の著作物を引用する必然性があることが条件になっているので、記事の大部分は自分の言葉である必要があります。
ポイント2:フリー画像を使う
写真やイラストにも著作権はあります。
適当なところから保存して使うと著作権侵害になる可能性は高いです。
そのためフリー画像を使いましょう。
ポイント3:オリジナルの画像を使う
自分で取った写真や自分で書いたイラストなどがこれに当たります。
自分で作成するので著作権は自分に発生し、完全オリジナルなコンテンツになります。
またcanva等の画像作成サイトもありますので、これで作ることを個人的にはおすすめします。
ポイント4:引用を正しく使おう
とは言ってもどうしても使いたい場面は多いです。
そんな時は「引用」してこれは第三者の著作物ですよと言うのを明記しましょう。
詳細は上で解説したので省略します。
これってどうなの?著作権Q&A
Q1.文章を少し変えれば問題ない?
A.ダメです。
これがいいなら
文章中の「です・ます」を「だ・である」に変えたり、本文を全てコピペして最後に「と思いました。」とつけるだけで問題ないことになります。
Q2.本の要約は問題ない?翻案権について
A.程度による。2~3行程度なら問題ない。
国の見解は次の通りです。
Q.最新のベストセラー小説のあらすじを書いて、ホームページに掲載することは、著作権者に断りなく行えますか。
A.どの程度のあらすじかによります。
ダイジェスト(要約)のようにそれを読めば作品のあらましが分かるというようなものは、著作権者の二次的著作物を創作する権利(翻案権、第27条)が働くので、要約の作成について著作権者の了解が必要です。また、作成された要約をホームページに掲載し送信する行為(複製、公衆送信)も元の作品の著作権者の二次的著作物を利用する権利(第28条)が働くので、要約の作成と同時に当該著作権者の了解を得ておく必要があります。一方、2~3行程度の極く短い内容紹介や「夭折の画家の美しくも哀しい愛の物語」などのキャッチコピー程度のものであれば、著作権が働く利用とは言えず、著作権者の了解の必要ありません。
引用:著作権Q&A|文化庁
2~3行程度の要約ならいいけど、見ただけで全容が把握できるような内容はダメ。それをブログ等で公開することもダメです。やる場合は著作者の許可取りましょう。
ということです。
要約については「翻案権」が働くかどうかが重要なポイントのようです。
著作物に創作性を加えて別の著作物を作成する権利のことをいい、原作を脚本にしたり(脚色化)、映画にしたり(映画化)、文書を要約したりする場合に働く権利です。
ざっくりいうと、本から得た知識などを自分の言葉で表現するのは問題ないけど、本の表現や言い回し、ストーリー性をそのまま使うのはダメですよ。という感じです。
弁護士の見解は以下の通りです。
Q.参考書・専門書を読んで得た知識を公表することは違法でしょうか?
別の言い方をすると本の要約をホームページなどで公表するのは違法でしょうか?
違法性があるのならどういった場合に違法になるのかの目安を教えてくださいA1.知識を公表することは問題ありません。
原作品を読まなくても内容が分かるような要約は、著作権法上の「翻案」に該当します。
著作権者の許諾がないと、著作権法違反となる可能性があります。
ごく短い要旨程度のものであれば、問題はありません。A2.著作権法は、具体的な表現を保護するする法律です。
そのため、参考とした書籍の具体的な表現を離れて、その内容を抽出した場合は、著作権侵害とはなりません。A3.アイデアや得た知識を公表しても著作権上は違法ではないですが、独創的な表現や言い回しを、そのままとって使うと違法になることはあります。
本の要約を公表することの違法性について|弁護士ドットコム
「ほとんどの内容がわかってしまうような要約は翻案権侵害となる」というのが一般的な解釈のようです。
ちなみに本の感想を書くだけなら著作権侵害にはなりません。
感想のために内容を少し書くことも要約の観点から問題ないと考えられます。
自分の言葉であっても本の内容を全てまとめるようなことはしないほうがいい。
Q3.小さな個人ブログならばれないんじゃないの?
A.法律的にはアウトだが、訴えられない可能性は高い
数年前までは著作権侵害で訴える場合、著作権者本人でなければいけませんでしたが、平成30年のTPP関連法案の改正によって以下に該当する場合は著作権者でなくてもよくなりました。
[1]侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること
[2]有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること
[3]有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること
詳細は文化庁環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備を確認してください。
ただ、第三者が訴えるケースはほとんどないのが現状です。
ましてや規模の小さい個人ブログなんて相手にしてもコストがかかるだけで無駄ですので黙認されています。
しかし、ばれない訳ではありません。以下のツールを使えば簡単にばれます。
- こぴらん
- CopyContentDetector
- コピペリン など
つまり、ばれてるけど黙認されているだけです。
まとめサイトなんて典型例です。
大学の先生が学生のレポートをコピペしてないかなども簡単にばれますので学生の方も注意してくださいね。
さいごに
ブログで本を紹介するときの注意すべき著作権について解説しました。いかがだったでしょうか。
これからブログ等で何か著作物を紹介しようとしている人は注意してほしいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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